ここが重要!適正飲酒へ向けた通院への鬼の説得
(前編からの続きです)
脱水で倒れる事件後、私は父に激怒しお酒をやめることを説得するのです。
「お父さんに元気でいてもらって孫と遊んでほしい。娘としてもお父さんとまともに話したい。それから周りに迷惑をかける状態(介護)に、自らならないでほしい。だから、お酒を減らしてほしいけど、お父さんは減らすことは無理だ。だから、やめてほしい。」
提案ではなく、もう真剣にお願いする言い方です。
父「やめる気はない。ただ、休肝日はできたし、やめる方法はわかったから自分でやめられる。」
私「じゃあ年末までに一度自分で頑張ってみて、できたらいいよね。できなかったら自分では難しいってことだと思う。それは依存症で仕方ないことだから、一緒に病院へ行こう。」
私は事前に夫と相談し、説得しても難しければ病院へ連れて行こうと考えていました。アルコール依存症で説得が難しい場合はアルコール専門外来というものを受診すると良いとわかってはいたものの、一歩踏み出せずにいました。しかし、もうすぐ70歳になるので、これが最期のチャンスと考え提案することにしたのです。
父「・・・わかった」(←はっきり言ったかな?(笑))
完全に同意はされていませんが、このチャレンジはしてみる方向になりました。
そして予想通り、年末年始に断酒することはできませんでした。
年始、早速「病院に行くよ、お母さんも行くよ」と伝え、近くの病院を探しました。
駅前の新しいクリニック(精神科)は、アルコール薬物関連障害の診察が可能で、近くのアルコール専門外来のある拠点病院との連携をしているということがわかりました。2週間後にすぐクリニックの予約がとれました。
そこで、父と母と私で初めて受診することとなったのです。
通院と服薬の開始と効果
受診
病院では、数多くの問診後、カウンセラーのような人にまず話を聞いてもらいます。私は今回までの経緯を、父は自分の気持ちを、母も自分の思いをたっぷり話します。私の目的は「事故を起こさないための断酒」でしたが、父の目的は「多く飲まなくても適度に酔える体になる」ことでした。
その後医師とは手短に話します。医師は若くて、マッチョで、とてもメンタル強そうな人でした。
医師は「きっぱり断酒した方がよいが、できるか?断酒は薬を使う。まだまだ若いから今からでも出来る。半年以上は服薬の継続を推奨する。どうしますか?」と言いました。
私たちは服薬治療の上の断酒を選択し、とにかく試してみることにしました。
服薬開始
朝の抗酒薬(シアナミド)と食後の飲み薬を開始しました。朝の薬が重要で、これを飲むとお酒に弱い人のようになってしまう、つまり酒を少量でも飲むと酔って気分が悪くなるとのことでした。
父はこっそり少し酒を口にした(危険なので真似しないでください)そうですが、日本酒おちょこ一杯程度で心臓がばくばくしたとのこと。
朝、薬を飲んだと嘘をついて飲まないのでは?と私は疑いました。ただ、母がチェックをしていることもあって父は必ず飲んでいたようでした。仮に1日飲まなかったとしても、体質は変化したままだからということもあったでしょう。
通院
2週間おきに、母と父のみで受診しました。断酒できていたので、医師はこのまま続けましょうと言われ、母や私からもまずは1カ月、まずは2カ月継続をと言われます。服薬をやめたかった父ですが、先生を言い負かすことができず、しぶしぶ継続しました。そのおかげか通院中は血液検査で肝機能等の数値の改善も確認しました。
副作用!?隠れていた持病が出てきて苦しんだ父の辛さ
父ははやく服薬をやめたかったようでした。理由は、酒の楽しみがないだけでなく、副作用にも苦しんだからです。
副作用①手足の冷え
冬ということもあり、アルコールを飲むことで手足が温まっていたところが温まらなくなり辛いとのこと。
→漢方で治療を試みるも目立った効果はなし。こたつや、レッグウォーマーなどを使い、物理的にあたためました。あとは春になり気になることは自然に減りました。
副作用②眠気の増強とやる気の低下
日中眠気が増え、寝ることが増えました。また、活力が低下し何事もやる気がなくなりました。こたつで寝てしまい、「高齢者みたいや」と言っていました。
副作用③耳鳴り
キーンと音がするようになります。原因は老化であると医師に言われます。父は「薬のせいだ」と言います。
→対処法なし。後に父は、耳鳴りは 気にするかどうかで苦痛の度合いが変わることに気づいたそうです。
副作用④味覚の低下や飲み込みにくさ
酒がないと、食事の味がおいしくないと言うようになります。医師から言われたことや調べたことを総合すると、加齢による唾液の減少、栄養不足、今までの飲酒の影響が考えられました。食事の偏りがあったため、ビタミンB12や亜鉛・鉄の栄養不足として食事改善を試みますが、父の場合上手くいきませんでした。酒をやめているので、ストレス管理上厳しい食事制限が今はできにくかったからです。ビタミン剤も飲みますが、なかなか改善しません。
→ノンアルコール飲料の、梅酒ソーダのようなものを飲むと、一番食が進んだようです。根本的には改善しませんでした。後に、炭酸やお酒はごまかしであり、味覚の低下は治らないと言っていました。父は入れ歯ですが、同じく入れ歯の人はよく噛めないために味が感じにくいのではと推測していました。
副作用⑤高血圧と高血糖
飲酒により隠れていた持病が発覚します。肝機能や中性脂肪の数値が改善したことと引き換えに、急に高血圧と高血糖に。実は、本来高血圧だったのですが、飲酒すると血圧が一時的に下がっていたこと等によって隠れており、今回断酒により露呈したと考えられます。高血糖も食事量が増えたため出てきたと考えられます。もともと糖尿病家系でしたが、飲酒時は食事量が少なかったために露呈していなかったのでしょう。父は酒をやめて、薬を飲んだからこうなったと大分勘違いしていました。
→高血圧については服薬と毎日の血圧測定を開始します。これにより、正常値を保つようになりました。高血糖は比較的悪くなかったため、経過観察となります。
6か月ほぼ断酒成功と通院をやめたきっかけ
結果的には、服薬期間中、断酒はほぼ成功しました。
父曰く、断酒してよかったこと
①お酒の代わり飲まなくても、頻尿はあったものの、夜合計すると寝れて疲れがとれるようになった。
②夜、お酒がなくてもお茶等を飲んで過ごすことができた。
③ごはんに合うおかずや麺類であれば、酒がなくても食べやすかった。
④健康診断の数値がよくなった。
父曰く悪いこと
①上述の副作用(冷え、眠気、耳鳴り、味覚の低下、高血圧と高血糖等)
②酒を飲まないと、人生の楽しみがなくストレス発散ができない。
→この点については徐々に改善していきます。酒に酔うこと以外のストレス発散方法をだんだん見出します。
通院をやめるのは、断酒生活が安定して酒を前ほど欲しなくなっていたこと、副作用が気になること、友人らと飲めなくて苦痛なこと、初めに医師が勧めた半年が経過したことが理由でした。父と母、先生と話し合った結果でした。私が指示したわけではありません。
通院をやめた後の飲酒状況
徐々に飲酒は増えていきましたが、結果的に1~2合程度の飲酒で済み、過度に酔わず、隠れ飲酒もなくなりました。
現在、通院をやめて半年経過したところです。食事の際に、ビール1本を母と分け、その後チューハイ(7%や9%であることが気になりますが)を1本飲む程度で、その後飲酒しなくなりました。食事は楽しくできていました。前のように隠れて飲むような行動は減り、食後もしっかりと話ができるようになりました。
今まで通りの日曜大工などの趣味に加え、Youtubeで好きな動画を見ながら、折り紙細工や物の修理等をすることが、新たな趣味となり、趣味に没頭したりして夜の過ごすようになりました。友人とも酒をたしなんだり旅行へ行ったりできるようになりました。
いやいや、断酒、できていないじゃん! とツッコみたくなるかもしれませんが・・・
ここにきて、父と娘の二人の目的が達成されました。私の目的は「事故を起こさないための断酒」でしたが、父の目的は「多く飲まなくても適度に酔える体になる」ことでした。
今回断酒はできていませんが、断酒をすると父の場合生きる意味を失いかけるという状態になりつつありましたので、私としても、最終的に適正な飲み方ができていればいいのではと考えています。
しかし、ここからも、以前のようにならないとは言い切れません。しかし、服薬治療という最終手段を持っていますから、安心して望めます。
実は時を同じくして、母も父も仲良く高血圧の服薬を開始しました。そして、「薬飲んだ?」と、お互いの健康について声かけするようになりました。
以前とは違う生活です。食事の際や食後に孫と家族の笑い声が響きます。今なら食後に父とトランプも楽しめるようになりました。実家は、私にとっても居心地の良い場所になりました。
さいごに
さて、前編後編にわたり、まどのんが一方的に体験談をつづりましたが、いかがでしたでしょうか。決して完璧な結果ではありませんが、この経験が家族の飲酒で悩む誰かの参考になれば幸いです。
厚生労働省は、現在飲酒のガイドラインを作成しています。
多くの人が、食事やお酒を上手に楽しんで、幸せな人生を送れることを祈っています。
管理栄養士まどのん の 栄養相談室
